Afterコロナの機運も高まり、組織のチームビルディングとして合宿型の研修を行う企業も増えてきています。今回は、マネジメント層を対象に1泊2日の研修合宿を行ったリードプラスの竹村聡一郎さんに、そのねらいや効果を聞きました。

 

■実施時期
2023年1月(1泊2日)

■実施場所
ライムリゾート箱根

■参加人数
マネジメント層20名ほど

■合宿の主な目的
会社合併による一体感の醸成、マネジメント層の意識改革

■企業名
リードプラス株式会社

お話を聞いた人

リードプラス株式会社 執行役員 人事部長の竹村聡一郎さん。人材採用、育成の仕組みづくり、組織フェーズに合わせた人事制度の企画・設計など、人材・組織マネジメント全般を担当。初めて開催した研修合宿では、事務局運営を統括した。

日常から離れて、「未来思考モード」になることが必要だった

──最初に、リードプラス株式会社の事業内容と組織の特徴を教えてください。

リードプラスは、「インターネット広告」と「インバウンドマーケティング」といった2つの柱を軸にWEBマーケティング事業を行っている会社です。

AIを活用した独自の広告運用サービスによる集客支援や、見込み顧客獲得のための広範なマーケティング戦略の立案・実行など、「企業のデジタルマーケティング活動全般」を支援しています。

組織としては、2021年9月に株式会社ローカルフォリオとリードプラス株式会社という2社が合併し、組織の人数も右肩上がりで増えています。

──合宿型の研修を企画されたとのことですが、そのねらいは?

異なるカルチャーを持つ2社が1つになってシナジーを発揮するには、丁寧なチームビルディングと密なコミュニケーションが不可欠だと考えました。

そこで、マネジメント層を対象に「同じ場所に集まってとことん話し合い、会社の未来を考える」「経営層の意識を共有し、目線をそろえる」ことをねらいとして、1泊2日の研修合宿を開催することにしました。

 

リードプラス社が合宿研修を行った「ライムリゾート箱根」。設計を手掛けたのは、「ポンピドゥー・センター」や、「関西国際空港旅客ターミナルビル」「ベルギー大使館」の建築デザインなどに携わってきた日本を代表する建築家 岡部憲明氏。自然に囲まれリラックスできる施設だ。

──チームビルディングは、オンラインやオフィス内で実施することもできるとは思います。あえてオフィスから離れた別施設で実施したのはなぜでしょうか?

普段の業務時間はどうしても緊急度が高いことや目先のタスクに目がいきがちです。

みんなが目線を上げて、中長期のことや経営方針をじっくりと考えて話し合うには、まずは「未来思考」モードになれる環境づくりが大事だと思ったんです。

そのため、オフィスから少し離れた、非日常を感じられるような開放的な場所で開催したいと考えました。

「創造的な対話」が生まれるための仕組みづくり

全体共有、プレゼンテーション時などは、施設内にある「シアターラウンジ」を活用。

──具体的に、2日間でどんなことをしたのでしょうか?

基本的には、部門の枠を越えてグループになり、ディスカッションや対話を行いました。

1日目と2日目の前半までは、会社の方向性など未来に向けた話を。2日目の後半は、それらを踏まえて会社の現状の課題や問題点を洗い出して話し合う時間をとりました。

コンテンツの中身、研修のファシリテーションは、ビジネスサイドの経営陣がリードする形で進めました。

──今回の合宿では、「ライムリゾート箱根」を利用されましたよね。利用してみてどうでしたか?

「めちゃくちゃよかった」というのが率直な気持ちです。

今回のケースで言うと、数名でのディスカッション時には仕切りがあるスペースを使って、意見がまとまったらシアターラウンジに集まって共有。その後分科会を行い…と少人数の話し合いと全体共有を繰り返していたのですが、それがとてもやりやすかったです。

個別セッションでは、数カ所あるラウンジスペースを利用した。

──クリエイティビティを発揮するには、環境や場づくりが大事だということですか?

そう思います。いわゆる「会議室」みたいな場所ではなかったので、リラックスして話せるし、どこに座るなどの決まりもない。

会議室のような閉じこもった空間で、オフィスチェアに座って対峙して話す場合と、今回利用した場所のように横に並んだり、ラフに座ったりしながら話す場合では場の活性度が全然違うなと思います。

ライムリゾート箱根の場合、大きな窓からは自然の景色が見えて開放感がありつつ、落ち着いた空間で集中できて、創造的な話が進みやすいと感じました。

料理はブッフェ形式に。食事の時間を通じた雑談も貴重な時間。

合宿開催後の「副次的な効果」とは?

普段なかなか話せないような人たちで交流するなど盛り上がり、長い夜を過ごしたという。

──今回、合宿型の研修を開催してみて良かったことは?

私自身、社内のいろいろな人と話しているつもりだったのですが、宿泊を伴う合宿を行ったことで、じっくりとコミュニケーションをとることができ、「こういうことを考えている人なんだな」とか「こんな面白い一面もあるんだ」など、人に対する新しい発見がたくさんありました。

開催後のアンケートでは、「チームとしての一体感を感じた」「みんなと目線を揃えることができた」などの声があり、当初のねらい以上の効果があったのではと思います。

また、本音の議論やちょっとした雑談など、さまざまなコミュニケーションをとっていく中で、組織の課題や強化していきたいポイントがよりクリアになったのも大きな成果でした。これから、組織としてさらに強くなるための土台ができたと感じています。

夜には、暖路を囲みリラックスしながら語り合うシーンも。

──合宿実施を検討している方に、開催者としてどんなアドバイスを送りますか?

改めて、今回の合宿企画を通じて、場づくりや環境づくりの重要性を感じました。例えば「仕事が忙しいのに何で行かなきゃいけないんだ」と思う人も中にはいるかもしれません。

そこで「空間がかっこいい」でも「景色がすばらしい」でもいいのですが、ちょっとしたサプライズや感動が研修参加への意欲につながると思うんです。

参加者に前のめりの気持ちになってもらい、「参加してよかった」と思ってもらうには、プログラムの設計と同じくらい「どんな場所で開催するか」が大事なのではないでしょうか。

あとは、合宿や研修は「なまもの」なので、当日の様子や状況に合わせて柔軟に対応できるような「余白」をあえてつくっておくのも必要だと思いました。

──今後はどんな展開を予定していますか?

今回はマネジメント層向けに合宿を開催しましたが、リーダー層や次世代人材の育成に向けても企画していければと思っています。

初めて合宿型の研修を開催してみて、プログラムの調整などまだまだ改善の余地がありました。今回の研修をベースに、さらにトレーニングの機会をつくっていきたいと考えています。

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